猫も抜歯を勧められることがあります。
どのような症状で抜歯をしなければいけないのか、費用がどのくらいかかるのか、不安な飼い主さんも多いと思います。
口腔内トラブルを放置すると、最悪の場合目の下に穴があいたり、腎機能障害になる可能性もあります。
この記事では、猫が抜歯を必要とされるケースを症状別にまとめ、抜歯にかかる費用相場や、ペット保険がどこまで補償対象なのかも合わせて解説しています。
- 抜歯を求められる症状
- 抜歯費用の相場
- ペット保険の補償範囲
- 抜歯後に出来るデンタルケア
猫が抜歯を必要とされるケース
口腔内トラブルの処置の一つとして歯を抜くことがあります。
抜歯が必要とされるケースを症状別に説明していきます。
- 乳歯遺残
- 歯周病
- 歯肉口内炎
乳歯遺残
乳歯遺残とは乳歯が抜ける前に、その場所から永久歯が生えてくる状態のことです。
歯が重なり合って生えていることで、汚れが溜まりやすくなり、歯垢がつく原因となります。
歯垢がついた状態をそのまま放置すると、歯石へと変化し、歯周病を引き起こす可能性が高くなります。
そのため、乳歯遺残については歯石がつく前に抜歯を勧められることがあります。
乳歯遺残は若い猫ちゃんに多いため、避妊・去勢手術の際に一緒に抜歯する場合があります。
麻酔をかける回数を減らすことが出来るので、猫ちゃんの体の負担も軽減する事が出来るからです。
歯周病
歯周病は歯垢中の細菌によって歯肉のみならず、歯周組織にまで炎症が引き起こされる感染症のことです。
初期症状としては、歯肉に赤みが見られ腫れてきます。
写真は中期症状で歯石が付着しており、歯肉の赤み、腫れ、出血が見られます。
歯肉の炎症や歯周組織の炎症が重度になると、歯を支えることが出来ずにぐらつき始めます。
また、口臭が強くなったり、痛みでご飯を食べることも難しくなるため、抜歯を行わないと改善することが難しくなります。
歯肉口内炎
歯肉口内炎は猫ちゃんの5%〜7%程度で発生すると言われています。
口腔粘膜に広く炎症を起こしている状態で、特に頬の内側の粘膜や喉の奥に炎症を起こしていることが多いです。
重度の歯周病・歯肉炎になることで、口内炎を引き起こす可能性があります。
その写真がこちらになります。↓
歯石がぎっしり付いており、歯肉の赤み、頬の内側の炎症が見られます。
口からの出血、口臭の悪化、強い痛みにより食事中に奇声を発する猫ちゃんもいます。
口や喉の奥が痛くてご飯をうまく飲み込めず、食欲が低下し体重の減少につながることもあります。
内科治療では根本的な治療とならないため、歯石を除去し、抜歯することが勧められるケースが多いです。
猫が抜歯するまでの流れ
実際に猫ちゃんが抜歯する場合、どの様な流れで行うのか説明します。
動物病院によって異なりますのでご注意ください。
①レントゲン撮影
↓
②術前検査
↓
③歯石除去(スケーリング)
↓
④抜歯
①レントゲン撮影
見える部分だけではなく、歯根の部分を見るためにはレントゲン撮影で確認する必要があります。
機械を使うことで正確な歯の状態や、奥歯や歯周ポッケトなど、人の目が届きづらい場所も確認する事ができます。
②術前検査
麻酔を安全に行うためには、術前検査をし、全身麻酔を行えるかどうか調べる必要があります。
術前検査では、基本的に血液検査や心電図、胸部や腹部のレントゲン撮影などがあります。
高齢の場合や術前検査に異常がある時は、麻酔をかけることができません。
③歯石除去(スケーリング)
歯の表面の歯垢や歯石を超音波スケーラーという専用器具で除去していきます。
表面だけではなく歯周ポケットにも汚れが溜まっているので、キュレットという機械で除去していきます。
歯垢がつきにくくなるように、歯の表面をツルツルに研磨し綺麗にします。
何度も麻酔をかけることはリスクになるため、出来るだけ口腔内をきれいな状態にしてあげます。
④抜歯
- 乳歯遺残は、避妊・去勢の手術終了後に乳歯を抜いていきます。
- 歯周病は残していても痛みに繋がるので、原因となる歯を抜歯します。
- 歯肉口内炎は歯石を除去した後に、歯の状態を見て、炎症がある場所や歯がぐらついている場所を抜歯していきます。
抜歯した場所は1ヶ月程度で吸収される糸で縫っていくので、処置後の抜糸は必要ありません。
抜歯後にご飯が食べれるどうかについては、ドライフードでも丸呑みして食べれるようであれば心配はありません。
ドライフードが食べれない場合は、ウェットフードなど食べやすいように工夫をして、食事を与えるようにしてください。
猫の抜歯費用の相場
費用は症状や、病院によっても異なります。
診察代、手術後の内服薬など追加でかかる場合もあります。
レントゲン | ¥5,000〜 |
術前検査 | ¥10,000〜 |
スケーリング | ¥15,000〜 |
抜歯(一本) | ¥2,000〜5,000 |
極端に費用が安い場合は、術前検査が無かったり、仕上げの研磨をしないなど、必要な検査、治療が除かれていることもあります。
歯周病で抜歯が2本必要となる場合、合計金額は34,000円となります。
ペットを守るためにも、治療内容と治療費については、しっかりと事前確認し、不安に思うことは獣医師と相談しながら治療していくことが大切です。
ペット保険が補償対象になるのは?
ペットには公的な保険制度がありません。
そのため保険に加入していない場合の治療費の自己負担は100%です。
しかし、ペット保険に加入していても抜歯の施術における全てが補償対象になるのか不安に思う方もいると思います。
補償対象の有無を詳しく説明します。
ペット保険対象内
ペット保険とは「病気や怪我に関わる治療費」が補償対象となります。
抜歯が補償対象になるのは
- 症状がある
- 治療に必要な手術
ということが条件になります。
抜歯が必要とされるケースで説明した、歯周病と口内炎はペット保険対象内になります。
ペット保険対象外
歯周病を予防する歯の歯石除去や乳歯遺残の抜歯などは治療にはならないため、ペット保険対象外になります。
保障対象外だと金額が高くなるからと、乳歯遺残や歯の汚れをそのままにしていると、歯周病に繋がります。
最悪の場合、口腔内のトラブルで全身の臓器に影響を及ぼす可能性もあるので、放置することはやめましょう。
そのためにも、日頃からの口腔内ケアが重要になってきます。
乳歯遺残の場合、避妊•去勢手術の際に抜歯することが可能なため、金額を抑えることができます。
まだ、避妊•去勢手術をしていない方は、獣医師に歯の状態を確認してもらうことをオススメします。
ペット保険の選び方
抜歯の症状によっては、ペット保険が対象外のケースもあるとご理解いただけたかと思います。
ただ、ペット保険が対象外だからといって、保険に入らないことはお勧めできません。
色んな病気や事故を想定して保険に入っていなければ、全ての治療費や診断料が100%負担になり、高額だった場合には対応ができなくなることもあります。
保険については毎月の支払いなど、生活に見合った金額と補償内容を選ぶと良いでしょう。
- 毎月の支払いはどのくらいか
- 補償の内容はどのようになっているか
保険会社によっては、補償内容が同じでも高額になることもあるので、1社だけではなく何社か見積もりを取って検討することをお勧めします。
無料で一括資料請求ができるサイトもあるので、じっくりとパンフレットを見ながらご検討ください。
抜歯後に家で行う口腔内ケア
抜歯した後は、歯を出来るだけ綺麗な状態で保つ必要があります。
デンタルケアには、
- 歯ブラシ
- サプリメント
- おやつ
など、沢山の種類があります。
その中でも猫ちゃんと飼い主さんがストレスを感じない、かつ持続的に出来そうなデンタルケアを選ぶようにしましょう。
歯ブラシ・歯磨きシート
歯ブラシを嫌がる猫ちゃんは多いのですが、ケアの中で一番効果があるとされています。
歯の表面だけではなく、歯周ポケットまで磨く事ができるため、出来るだけ小さい頃から歯磨きに慣れさせていくことが大切です。
出来れば一日一回、猫ちゃんがリラックスしている時に行い、歯ブラシが難しい場合は、歯磨きシートから試すのもおススメです。
最初はお口や歯を触ることからチャレンジし、少しずつ難易度を上げていくとスムーズに行うことが出来ます。
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歯磨きペースト・ジェル
歯ブラシにつけ使用することでより口臭を抑えることができます。
デンタル成分により、歯垢や歯石を落として口の中を清潔に保つことが出来ます。
歯磨きが出来ない猫ちゃんでも、指で直接塗ってあげたり、舐めるだけでも効果があるという商品もあります。
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サプリメント
どうしても口を触られるのが苦手な猫ちゃんにおすすめなのがサプリメントです。
下のサプリメントは口腔内にある善玉菌を増やし、悪玉菌を増やさないようにする成分が含まれています。
口内環境が良くなることで、口臭予防や歯肉炎予防に繋がります。
チキンフレーバーになっているので、そのまま与えることもでき、潰して粉末にするとご飯にかけてあげることも出来ます。
おやつ
手軽に与えられるおやつタイプもあります。
おやつタイプはどんな子でもすぐに始められるケアになっております。
主原料は全て自然素材で、成猫用の総合栄養食の基準をクリアしているため、安心して与えることが出来きます。
噛むことで歯垢と歯石の蓄積を抑えることができ、味の種類も豊富なため、猫ちゃんの好みに合った物を選んであげると良いでしょう。
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猫の抜歯まとめ
歯の汚れは1週間ほどで歯石に変化していきます。
歯石になると、歯磨きで簡単にと除くことが難しくなります。
日々の観察が病気の早期発見につながりますので、口臭が強くなったり、いつもとご飯の食べ方が違うなど些細な変化でも、かかりつけの病院でご相談することをお勧めします。