飲み薬は怪我や病気の治療だけではなく、予防などでも投薬が必要になります。
しかし、お家でお薬をあげようとした時、猫ちゃんが飲んでくれなかったり、ご飯に混ぜても薬だけ残してしまったりと、悩んだことはないでしょうか。
- どのように投薬すればいいのか
- 便利な投薬アイテムなどが知りたい
とういう人に向けて、動物看護師が実践を交えてお伝えしています。
なぜ飲み薬を嫌がるの?
猫ちゃんに投薬を嫌がられ、苦労した人も多いと思います。
猫ちゃんはなぜ、薬を嫌がっているのかご存知でしょうか?
味覚が敏感
猫ちゃんは、ワンちゃんと比べても味覚が敏感な動物です。
特に「苦味」と「酸味」が苦手で、猫ちゃんにとってその味は、本能的に「毒」や「腐った食べ物」と認識してしまいます。
そのため、少し苦味のあるお薬は、『猫ちゃんにとって嫌がる理由』の一つになっています。
人は、薬が美味しくなくても「病気が良くなる為に飲まないといけない」と考えられますが、猫ちゃんにとっては「薬はただの美味しくないもの」となり、それを拒否することは自然なことなのです。
警戒心が強い
猫ちゃんは警戒心がとても強い動物なので、見慣れない物や、嗅ぎ慣れない物にとても警戒します。
また、人と比べ嗅覚も発達しているため、餌に隠されていても匂いで気付く猫ちゃんも少なくはないでしょう。
無理やり投薬された嫌な記憶があると、警戒して近づくことも難しくなっていきます。
薬の種類別 具体的な飲ませ方
病院で処方される薬にはいくつか種類があります。お薬の種類で、飲ませ方やコツ、なども変わってきます。
私たち動物看護師は、入院する猫ちゃんに合をせて薬の投薬を行なっていますので、その具体的な薬の飲ませ方をお伝えします。
錠剤・カプセル
お薬をご飯に混ぜて食べてくれるとすごく楽なのですが、お薬だけ上手に残す子もいてます。
手順1:後ろから優しく支える。後ろに逃げていかないようしっかりと支えてあげる。
手順2:頭の上から猫の頬骨を持ち少し上に向かせる。
手順3:反対側の手で親指、人差し指で錠剤を持ち、中指で猫ちゃんの下の前歯または犬歯の横に指をかけて口を開ける。
手順4:お薬を舌の付け根に置くようなイメージで薬を口の中に入れる。
※この時に舌の先や中央に薬を置くと、すぐに吐き出されてしまいます。
また喉に向かって投げ入れると、気管に入る恐れがあるので注意が必要。
手順5:お薬を口の中に入れたら、素早く口を閉じ、上を向かせたまま軽く喉をさすってあげる。
すぐに下を向くと、口に入れた薬が出るからです。舌がペロッと出たら飲み込んだ合図になります。
一回で成功するのは難しいかもしれませんが、何度か挑戦し慣れてくるとスムーズに投薬できるようになります。
粉薬・シロップ
手順1:粉薬は事前に、ぬるめのお湯に溶かしてシリンジ(針の付いてない注射器)、またはスポイトに吸って準備。
後ろから優しく支え、逃げていかないように体をしっかり密着してあげるのがポイント。
手順2:頭の上から猫の頬骨を持ち、少し上に向かせる。この時、逆の手にシリンジまたはスポイトを持っておくとスムーズに。
手順3:犬歯の横からシリンジやスポイトの先を入れると、口を開けるのでそのまま薬を少しずつ入れる。
この時、顔は少し上に向かせながら行う。下を向いてしまうと薬が流れ出るので注意。
この投薬方法は無理に行うと噛まれてしまい怪我をする恐れがありますので嫌がるのであれば違う方法で試して行きましょう!
どうしても薬を飲まない時はどうしたらいいの?
先ほど紹介した方法で、スムーズに投薬を行えればいいのですが、口を無理やり開けられ、薬を入れられる事を嫌がる猫ちゃんも多いと思います。
飼い主さんと猫ちゃんが、ストレスのないように投薬を行えることが理想です。
そこで、どうしても薬を嫌がるようであれば、病院で私が実践している投薬方法と投薬アイテムがありますので参考にしてみてください。
缶詰など、ご飯に混ぜてあげる投薬方法
この方法は試した方もいらっしゃると思います。
缶詰でも無理だったという方は、ひと工夫するだけで食べてくれるかもしれませんので是非チャレンジしてみてください。
①缶詰をお皿に移し、レンジで少しだけ温めてあげる
缶詰を温めることで、缶詰の匂いが倍増します。
人の食べ物も同じで、冷たい食べ物より温めた方がより匂いも増し、美味しく感じます。
②一口サイズの量で、中央に薬を隠す
缶詰に薬を混ぜるとき、量に意識してあげてみてください。
量が多いと食べているうちに、薬を舐め取る可能性があります。
猫ちゃんはご飯が飲み込める大きさの場合、噛まずに飲み込む習性があるので、一口サイズの量で、薬を中央に隠す様に入れてあげることで、薬に気づかず一口で食べてくれます。
投薬に便利なアイテム
おくすりちょーだい
こちらの商品はペースト状になっており、粘度性が高く、お薬にべっとりと絡むため、粉薬はもちろん錠剤でも使うことができます。
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ピルポケット
こちらの商品は、薬を入れる穴がすでに空いている為、お皿や手を汚さずにお薬を「ポンっ」と入れることができるので投薬にオススメです。
猫は初めての食べ物には警戒することが多いので、すぐに薬は入れずに、最初は少しだけの量で食べるか試してみて下さい。
ピルガン
こちらの商品は、「ご飯に混ぜてもおやつに混ぜても食べてくれない」、
口を開けて手で薬を入れるのは「噛まれそうで少し怖い」といった方に適しています。
商品の先にお薬をセットし、口の中に直接投薬できるようになっています。
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どうしても薬を飲まない時は無理に飲ませなくていいの?
放置するのは危険です
どの方法を試しても薬を飲んでくれない。
そんな時、薬をあげないという判断は良くありません。
病気を治すためのお薬なので、薬を飲まないからと放置しないで下さい。
悪化する原因になります。
病気を治すには確実にお薬を飲んでくれる事が大事になります。
薬の種類によっては、錠剤ではなく粉薬に変更出来たり、シロップにして処方出来る物もあります。
また、「本当に何も口にしてくれない」「投薬が無理」という方は、お薬ではなく注射を打って病気を治してくなどの方法もあります。
投薬で困ったら、悩まずに早めにかかりつけの病院へご相談ください。
まとめ
色々な投薬方法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
猫ちゃんも、一匹一匹性格が違うので、その子に合った投薬方法を探してみましょう。
この中に一つでもあなたの猫ちゃんに合った投薬方法があると嬉しいです。
些細なことでも悩んだ時は、病院へ相談するのも一つの手段です。
そして、1日も早く元気な姿が見れるよう、投薬頑張ってください。